腰が痛いと聞くと、多くの方が「骨の異常」や「ヘルニア」といった構造的な問題を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、画像検査で異常が見つからない腰痛が圧倒的多数を占めています。
その多くが、筋肉や筋膜に由来する痛み=筋筋膜性疼痛症候群(MPS)であることをご存知でしょうか?
MPSでは、筋肉や筋膜に「トリガーポイント」と呼ばれる過敏な部位ができ、それが痛みの原因となります。
このトリガーポイントが離れた部位にも痛みを飛ばす(関連痛)ことが、腰痛をより複雑にしているのです。

MPSの観点から見る、腰痛の動作別パターンと原因筋
【1】前かがみで痛い(屈曲動作)
→ 主な原因筋:
大腰筋
腸骨筋
腰方形筋
腰部多裂筋など
このタイプの腰痛では、股関節と腰椎の連動性が崩れ、深層筋に過負荷がかかります。
腰部多裂筋にできたトリガーポイントは、腰椎中央部から骨盤周囲にかけての重く鈍い痛みを引き起こします。
【2】後ろに反らすと痛い(伸展動作)
→ 主な原因筋:
脊柱起立筋(最長筋・腸肋筋)
腰部多裂筋など
反る動作で痛みが強く出る方の多くは、これらの筋肉が緊張・短縮してトリガーポイント化しています。
MPSでは、慢性的な筋疲労や不良姿勢により、トリガーポイントが形成されやすくなります。
【3】左右にひねると痛い(回旋動作)
→ 主な原因筋:
腹斜筋群(内腹斜筋・外腹斜筋)
腰方形筋
腰部多裂筋
体幹の回旋で痛む場合、表層の腹筋だけでなく、深層の多裂筋や腰方形筋にも着目します。
これらの筋は、微細な回旋のコントロールに関わるため、デスクワークやゴルフなど同一動作の繰り返しで負担が蓄積しやすい部位です。
【4】座っていると重だるくなる(静的姿勢の腰痛)
→ 主な原因筋:
大腰筋・腸骨筋
腰部多裂筋
中臀筋
長時間座位により骨盤が後傾し、大腰筋の短縮・トリガーポイント化が進みます。
また、座り姿勢では腰部多裂筋も持続的に緊張しやすく、休めているようで疲労が蓄積する隠れポイントです。
トリガーポイント鍼治療で、MPSに直接アプローチ
feel鍼灸院では、動作分析と触診によりトリガーポイントを見つけ出し、ピンポイントで鍼を用いて刺激し筋の緊張緩和、血流改善、痛みの再発防止を行います。
腰部多裂筋のように深層でアプローチが難しい筋肉にも、トリガーポイント鍼なら到達可能です。
MPSによる腰痛は、レントゲンやMRIでは写りませんが、確かに存在する“筋肉のエラー”です。
まとめ:動作の痛み=筋肉からのSOS
「どの動きで痛いか」は、あなたの体が発するサイン。
それを読み解き、的確に対応することで、腰痛は必ず軽減・改善できます。
MPSによる腰痛にお悩みの方、ぜひ一度、トリガーポイント鍼治療を体験してみてください。
feel鍼灸院が、あなたの回復の道を一緒に探します。
『この記事の執筆者:佐野 聖(はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長)』
佐野聖は1995年に鍼灸マッサージ師(国家資格)を取得。8年間にわたり整形外科クリニックに勤務し、医師との連携による臨床経験を重ねたのち、2003年に横浜にて鍼灸マッサージ治療院「feel」を開院しました。
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイントによる痛みやコリの治療を専門とし、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、多岐にわたる慢性症状の改善を得意としています。
その治療技術は、鍼灸専門誌『医道の日本』にも紹介されており、エビデンスと経験をもとに、患者様一人ひとりの痛みの本質に迫る施術を行っています。