痛みとコリの専門 鍼灸マッサージ治療院 feel 院長の佐野です。
今回は、当院へのご相談でも特に多い「四十肩・五十肩」のトリガーポイント治療についてお話しします。
四十肩・五十肩の症状は人それぞれ
四十肩・五十肩と一言で言っても、その症状はさまざまです。
腕を上にあげられない(バンザイができない)
背中に手が回らない(エプロンの紐が結べない、ブラジャーがつけられない)
腕を横に上げられない
すべての動作に制限がある混合タイプ
このように動かせない方向や程度によって原因となる筋肉も変わってくるため、適切な評価と施術が必要です。
治療のポイントは「肩と肘の連動」
四十肩・五十肩の治療で私が特に大切にしているのが、「肩関節と肘関節の連動」です。
肩の先には腕があり、その中には肘関節があります。日常生活では肩と肘はほとんど同時に動いており、互いに強く影響を与え合っています。
たとえば、肘を曲げる筋肉である上腕二頭筋は肩の前面から前腕にかけて走っており、反対に肘を伸ばす上腕三頭筋は肩の後ろ側から前腕までつながっています。
日常の動作でもこの連動はよく見られます。
テーブルの上の物を持ち上げて少し離れた場所に置く時、肩は少し前に動き、肘は伸びる
吊り革につかまる時は、肩が大きく前に上がり、肘も伸びる
エプロンの紐を後ろで結ぶ動作では、肩が後ろに引かれ、肘は曲がる
また、肘の動きには回内(ドアノブを内側に回すような動き)と回外(外側に回す動き)も関わっており、これがスムーズでないと肩にまで負担がかかることがあります。
そのため、痛みを感じている肩だけを治療しても、思うような改善が得られないケースも多くあります。

赤い丸の部分が上腕三頭筋
実際の症例から
最近の症例では、ある患者様が「腕を前から横に移動させる」趣味の動作を、長い時には4〜5時間も繰り返す中で、次第に肩に違和感を感じるようになりました。
その後、1ヶ月ほどで痛みが強くなり、ここ10日ほどは腕が上がらないほどになって来院されました。
動作を確認したところ、原因は肩ではなく上腕三頭筋にあるトリガーポイントと判断。
そこに対して鍼治療を行い、補助的に三角筋やインナーマッスルにもアプローチしました。
初回はうつ伏せになることも困難だったため、横向きでの施術を週に1回のペースで3回。
痛みが落ち着いてきた段階でうつ伏せでの施術に移行し、さらに週1回を2回継続しました。
その結果、日常生活での痛みは完全になくなり、趣味も1〜2時間程度であれば楽しめるまでに回復しました。
ただし、それ以上続けると痛みが出始めるとのことで、次回は3週間後に施術予定です。
放置による悪化に要注意
私の施術歴30年の中でも、**「様子を見ていたら悪化してしまった」**というケースが最も多いのが、四十肩・五十肩です。
「いつか治るだろう」「しばらく安静にすれば…」という考えで数ヶ月が経過してしまい、
痛みが慢性化している
可動域がさらに狭くなっている
他の部位にも負担がかかっている
といった状態で来院されることが少なくありません。
中には半年、1年以上我慢された方もいらっしゃいます。
10日様子を見ても変わらなければ、治療のタイミングです
四十肩・五十肩は、早期のトリガーポイント治療がカギです。
10日ほど経っても症状が改善しない場合は、できるだけ早くご相談ください。
=この記事は、鍼灸マッサージ師(国家資格)である当院院長の佐野聖が書いています=
「佐野聖は1995年の国家資格取得以降、臨床の第一線で活躍しており、その技術は鍼灸の専門誌である「医道の日本」において紹介されるなど、トリガーポイント・筋膜由来の痛みやコリの改善において高い評価を得ております」