横浜の天王町にある鍼灸マッサージ治療院 feel 院長の佐野です
年間を通して来院が多い症状のひとつに「モートン病(モルトン病)」があります。
今回は、その治療の考え方と実際のアプローチについてお話しいたします。
■ モートン病とは?
モートン病(Morton’s neuroma)は、足の指(特に第3・第4趾の間)に痛みやしびれを感じる疾患で、
「神経が圧迫されることで生じる痛み」として知られています。
歩行時に「足の裏に小石が挟まったような違和感」や「焼けるような痛み」を感じるのが特徴です。
女性に多く、ヒールや先の細い靴を履くことで症状が悪化することもあります。
■ トリガーポイント鍼治療による改善
モートン病は一見すると「神経の病気」のように思われがちですが、
実際には足・脚の筋肉の緊張や硬結(トリガーポイント)による二次的な神経圧迫が関係しています。
当院では、神経そのものではなく、神経を取り囲む筋や腱に対してアプローチを行います。
■ 主な治療ポイント
治療の中心となるのは、
ふくらはぎ(下腿三頭筋)
足底(足底腱膜・短趾屈筋・長趾屈筋・足底方形筋)
脛(すね)の筋群
これらの筋肉は、すべて足底の神経経路に影響を与えています。

足底腱膜

短趾屈筋

長趾屈筋

足底方形筋
特に足底の筋群は層構造になっており、重なり合う腱や筋膜を丁寧に緩めることが大切です。
さらに、ふくらはぎや脛の筋肉が過緊張を起こしていると、神経や血流の流れが滞りやすく、
足先の痛みやしびれが強く出るケースもあります。
■ 治療の経過
症状の程度にもよりますが、
3〜5回の治療で改善する方が多く、
早期に歩行時の痛みやしびれが軽減していくケースがほとんどです。
慢性化している場合も、筋膜・神経の滑走性を回復させることで、
徐々に「歩きやすさ」を取り戻せます。
■ まとめ
モートン病は神経だけでなく、筋肉のアンバランスや足底の緊張が原因となる症状です。
足底だけでなく、ふくらはぎや脛の筋群を含めてトータルに調整することで、
しびれや痛みの改善が期待できます。
足の痛みや歩行時の違和感が続く方は、早めにご相談ください。
=筆者:佐野 聖(さの ひじり)/ はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長=
1995年に鍼灸マッサージ師(国家資格)を取得し、整形外科勤務からキャリアをスタートしました。臨床の現場で数多くの症例に携わる中で、痛みの多くが筋肉や筋膜に由来することに注目し、2003年に横浜で「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」を開業。筋筋膜性疼痛症候群(MPS)やトリガーポイント治療を専門に据え、肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、慢性的な痛みに取り組んできました。
その治療技術や臨床経験は、鍼灸専門誌『医道の日本』でも特集として紹介されています。