ブログ
BLOG

鍼灸専門治療院 feel横浜本院 院長ブログ
2026年04月04日

腰痛・坐骨神経痛(臀部〜下肢の痺れ・痛み)

腰痛
坐骨神経痛
脊柱管狭窄症・脊椎すべり症
神経痛・神経障害

トリガーポイント鍼灸院 feel 院長の佐野です。

昨日は、15年以上当院へ通われている女性Aさんが来院されました。
今回は首の痛みで、先週に続いて2回目の治療です。

首の症状は、1回目の施術でほぼ改善。
今回は仕上げの調整を行いました。


施術中、ふとAさんの「最初の来院時」の話になりました。

私:「そういえば、最初に来られた時は本当に大変でしたよね」

Aさん:「もう忘れちゃいましたよ(笑)」


しかし、私ははっきり覚えています。


■ 歩くことも困難だった初診時
Aさんが初めて来院されたのは、
腰痛と坐骨神経痛による

臀部の強い痛み
下肢への放散痛と痺れ
歩行困難
という、かなり重い状態でした。

さらに、鍼が苦手という条件。

ここは臨床的に重要です。
「治療強度を上げられない状態で、どこまで改善できるか」という制約があったからです。


■ 施術戦略:局所ではなく“連結”で捉える
Aさんのケースで特徴的だったのは、
痛みの分布が単一の神経支配では説明しきれない点でした。

ここで重要になるのが、

脊柱起立筋群(体幹の支持)
大腰筋(深層の安定化)
大臀筋・中臀筋・小臀筋(骨盤制御)
梨状筋を含む外旋六筋(神経圧迫リスク)
ハムストリングス(後面連結)
という広範囲の筋膜連結です。

筋肉は単独では働きません。
筋膜を介して連続し、張力を共有しています。

この考え方は、いわゆる筋膜経線の概念であり、
身体は「部分の集合」ではなく「連結されたシステム」として機能します。


■ 実際の施術の進め方
初期は以下のように段階的に進めました。

【第1段階】痛みの緩和(週2回 × 約1ヶ月)
脊柱起立筋・腰方形筋の過緊張除去
梨状筋・外旋筋群へのアプローチ
神経刺激を避けながらの施術

この段階では、身体のリラックスと鍼に慣れていただくことをメインに、少しずつ筋肉を緩めていく。



【第2段階】可動域と負荷耐性の回復(週1回 × 約3ヶ月)
大臀筋・中臀筋の機能回復
大腰筋の深部トリガーポイント処理
ハムストリングスの滑走改善

痛みが減っても、ここで止めると再発することがあります。



【第3段階】安定化と再発予防(〜1年)
全体のバランス調整
左右差・代償動作の修正
定期的なメンテナンス

「痛みがない状態」を身体に学習させるフェーズになります。


■ 痛みの「もう一つの側面」
Aさんの場合、もう一つ見逃せない要因がありました。

それは、**強いストレス体験(トラウマ)**です。

30年の臨床の中で確信していることがあります。

痛みは、構造だけで説明できないケースがある
実際、心理的ストレスと慢性疼痛の関連は、
ジョン・E・サーノ などの研究でも示唆されています。

ただしここで注意すべき点があります。

「心の問題」と単純化するのは誤り
「筋肉の問題だけ」と断定するのも不十分
両者は相互作用しているという理解が現実的です。




■ 結果として何が起きたか
Aさんは、

初期の強い痛みを乗り越え、徐々に身体機能を回復し、現在はほぼ症状のない状態を維持しています。

そして何より印象的なのは、「あの時の痛みを忘れている」という点です。

これは単なる改善ではなく、身体の状態が再構築された結果です。


■ 臨床的に重要なポイント
この症例から整理できるポイントは明確です。

・痛みは局所だけでは説明できない
・筋膜連結を前提にした評価が必要
・改善には「段階設計」が不可欠
・心理的要因も無視できない
・継続が結果を分ける

腰痛・坐骨神経痛は、「その場で良くなるかどうか」ではなく、どのレベルまで身体を再構築できるかが本質です。

そしてAさんは、そこまで到達した一例です。


 =筆者:佐野 聖(さの ひじり)/ はり・きゅう・マッサージ治療院 feel 院長=
1995年、鍼灸マッサージ師(国家資格)取得。整形外科勤務を経て臨床経験を積み、2003年に横浜にて「はり・きゅう・マッサージ治療院 feel」を開業。
これまでの臨床の中で、痛みの多くが筋肉や筋膜に由来することに着目し、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)およびトリガーポイントに特化した治療を専門としている。
肩こり・腰痛・坐骨神経痛・五十肩・頭痛など、慢性的な痛みに対して、局所だけでなく身体全体の機能を踏まえたアプローチを行い、改善をサポートしてきた。
その治療技術と臨床経験は、鍼灸専門誌『医道の日本』において特集掲載されている。

 



LINEでお問合せ