こんにちは、はりきゅうマッサージ治療院feel 広末です。

長年の膝の痛み、本当の原因は「膝」だけではないかもしれません。

上田様(仮名)70代男性は、30年近く、右膝の痛みに悩まされてきました。
整形外科にも通い、さまざまな治療やアドバイスを受けたものの、症状の改善には至らず。

特に困っていたのは、歩いていると膝がだんだん痛くなり
5分ほど休むと楽になるが、また歩くと痛みが戻るという繰り返し。
これは『間欠性跛行(かんけつせいはこう)』と呼ばれる状態で、歩行時に大きな制限が出る辛い症状です。

膝が痛いとき、治すべきは膝ではなく“腰”と“お尻”の硬さが原因になっている場合が多く
上田さん(仮名)の初診時の触診でも、腰部から臀部にかけての筋肉の強い緊張が感じられました。

■ 腰部の筋肉
・腰方形筋（ようほうけいきん）
：腰椎と骨盤を安定させ、姿勢保持に関わります。歩行時に体を支える働きがあり、緊張が強いと腰や下肢に関連痛を出します。
・大腰筋（だいようきん）
：骨盤から太ももに伸びるインナーマッスル。股関節の屈曲に関与し、硬くなると膝や足に痛みを放散することがあります。
■ 臀部の筋肉
・中殿筋（ちゅうでんきん）、小殿筋（しょうでんきん）
：片足で立つときや歩くときに骨盤を安定させる筋肉。硬くなると、お尻から太もも・膝外側へ放散痛を出すことがあります。
・梨状筋（りじょうきん）
：坐骨神経のすぐ近くを通るため、緊張が強いと坐骨神経痛のような症状が膝やふくらはぎに現れることがあります。

～トリガーポイント療法 × パルス（電気刺激）で深部から緩める～
上田様(仮名)の治療では、筋肉の深層にあるトリガーポイントに鍼をしたら、そこにパルス（電気刺激）を加えます。
これはただ鍼を刺すだけでは届きにくい筋肉の奥深い層にまで刺激を届けることができ、以下のような効果が期待できます。
パルス併用による主な効果：
・持続的な筋肉のリズミカルな収縮と弛緩を促すことで、頑固なこわばりを緩めやすくなる
・血流を大きく促進し、筋肉の修復や老廃物の排出をサポート
・深部のトリガーポイントが、より効率的に鎮静化しやすくなる

上田様(仮名)には、週1回のペースでトリガーポイント＋パルスの治療を継続して行い
7回目の施術時点で痛みは半分以下にまで軽減しました。
ただし、30年という長い経過と高齢という背景もあり、治療の間隔が空くと痛みが戻りやすいため
現在も週1回を目安に継続していただいています。

ご自宅での注意点：安静にしすぎず、痛みを避けつつ動くこと
慢性痛のある方に多いのが、「痛いから動かない」というパターンです。
しかし、動かさないことで筋肉はさらに硬くなり、痛みを助長することも。
痛みの出る動作は避けつつ、できるだけ日常的な動きを保つようにしましょう。

膝の痛みがなかなか良くならない方へ。
膝が痛い＝膝の問題と思いがちですが、実は腰部や臀部の筋肉のこわばりや
トリガーポイントが原因であることも珍しくありません。
整形外科での検査や治療では見落とされやすい“筋肉由来の膝痛”は、鍼灸の該当分野になります。

「歩くと痛い」「しばらく休むと楽になる」「でもまた痛くなる」
そんな悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。